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プログラムにない、ショパンのポロネーズ第1番(ピアノソロ)からスタート。続く2曲目は序奏と華麗なるポロネーズ(チェロ&ピアノ)。いずれも悲壮感やら、いわゆるショパンの悲しく切ない「望郷の念」などを聴きとらねばならぬ作品ではない。とはいえ1番は嬰ハ短調ゆえ激しくもウツな旋律から始まるのだが、続くアルペジオの飛翔感と転調後の流麗な旋律を、宮崎氏が振幅の大きい表現とペダルの巧みな操作でもって奏することで、力強く凝縮されたポロネーズになった。序奏と華麗なるポロネーズはハ長調。やはりほっとしますな。歌心も詩情もあふれたチェロの旋律が美しい。ときに、ガットネロの広くない(はっきり言ってかなりせまい)場所でのライヴのウリは、ほぼすべての聴衆が「砂かぶり」で楽しめることなんだけれど、それゆえよくわかるんです。たとえばこのチェロとピアノのポロネーズが、非常に聴きやすい曲ではあっても、演奏者にとっては難曲であることが。チェロの弓の動きによく表れている。この曲、さらにチェロパートの難しい編曲があるらしい。大町さん、次は超絶技巧ヴァージョンでお願いします。3曲目の幻想ポロネースは第1番とは対極にある曲想で、瞑想的・内省的でありながら激情あふれる、いわば複雑な曲。英雄ポロネーズのようなわかりやすさなし。その深い音楽性のために聴く側が迷子になりそうなんだけれど、この日の宮崎版では、演者も聴者も集中力途切れることなく、ショパンの晩年の深ーい深ーい悲しみの深淵を共有したのでした。ベートーヴェンは2曲。ピアノソナタ第1番のあと、チェロとピアノのためのソナタ第5番。第3番が最も有名だけれど、個人的に、ベートーヴェンの後期の作品が好きなのと、フーガというスタイルも大好きなのでこの日の5番楽しみにしておりました。さまざまな要素がぎゅっと詰まったような第1楽章と、フーガ形式の第3楽章にはさまれた第2楽章のアダージョが、たゆたうたゆたう。この3つの楽章の対比が素晴らしく、大満足。そしてアンコールのリベルタンゴと白鳥で満腹。かなり濃ーいこの日のクラシックカフェの雰囲気伝わりましたか? 

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